太郎くんの言葉を無視するかのように、
子猫はわたしに向かって鳴く事をやめなかった。


『子猫ちゃん、ご主人に捨てられたの?』


わたしは子猫に尋ねてみた。

すると、子猫は言った。


『捨てられたんじゃないよ。ぼくから出て行ってやったんだ!』


強気な性格らしい。

このダンボールといい、どっからどう見ても完璧に捨て猫の図だ。


それでも尚、強気でいられるこの子猫は強いと思った。


「かわいそうだけど、うちは『ポチ子でいっぱい』ってママも言ってたしなぁ」


うーん、とうなる太郎くん。


「子猫には悪いけど……」