目が覚めると部屋の中は夜の暗がりから一変し、

朝日がサンサンとカーテンの隙間から入ってきてた。


いつもの夜明けの薄暗い風景じゃない。


ちょっと寝すぎたかな

‥‥ん!?



あぁ~~~!!



どうしよう、寝過ごしちゃった。


太郎くんとの朝の散歩に行けなかった。

机の上にある太郎くんの約六年間使い古してきたランドセルの姿はもうない。


ない。ない。



これも全部‥‥



まだ畳の上にひかれた布団を横目で
『ギロリ』と自分の中で効果音を付けながら睨む。


もっさりと浮かび上がっている部分はまさしく敵のいる場所。

わたしはたまらずに、
そのもっさり部分に飛びついた。


『わたしの太郎くんをかえしてー!』


どさっと一箇所だけ膨らんだ布団の上に落ちた途端、
妙な違和感を感じた。


ふわっとやわらかい。



‥‥やわらかい?



前足で布団をはぎとると、
なんとそこには子猫の姿はなく変わりにうさぎのぬいぐるみ!


こ、これはママの愛用のうさちゃん


‥‥じゃなくて、子猫はどこ!?


部屋の中をぐるぐると探し回っても子猫の姿は見当たらず、
わたしの中でサーッと何かがひいた。


胸騒ぎがする。とってもいやぁな。


「きゃーーっ!!」


!!?


階段の下からママの叫び声、
そしてガシャーンと何かが割れたような嫌な音が響いてきた。


たいへん!もしかして子猫が見つかっちゃった!?


わたしは苦手な階段を急いで駆け下りた。

いまは階段なんか怖がってる場合じゃない。



 子猫を‥‥た、助け、助けないと!!