かと言って…わたしには嶋村さんを無視できない理由があった。


そもそも、嶋村さんが会社から少し距離があるにもかかわらず、うちのお店に来るようになったのは、オーナーの知り合いだったから。


さすがにオーナーの知り合いを無下にはできないでしょぉ?


オーナーは特に彼を可愛がっているらしく、何かとわたしに彼をすすめてきて困る。


ほんとに困る…。


「いいじゃんユキちゃん。なかなか玉の輿じゃない?」


にやりとチアキちゃんが笑う。


勘弁してよほんと…。


「譲るよマジで」


「え〜〜?ダメダメッッ!!!だってあたしが料理持っていくと、あの人アキラカにがっかりした顔するんだよ〜?失礼しちゃう!!!」


「そうそう。ユキちゃんに完全ラブだからね」


………なんでー…?


頬杖をついたままため息がこぼれる。


なんでわたし…?


そりゃまぁ、悪いヒトではないと思うけどさー…。


なんていうか…あの頼りなさ?顔はまぁ良いのに、あのあかぬけなさ?


どっちにしても、恋愛対象としては考えにくい。


……どうやって断ろう…。