「――あれは…、あの日は外回りの仕事を森川さんと二人でしてたから…だからだよ」



「ふーん?それじゃ別にうちのお店じゃなくてもよくない?」



「それは…森川さんが、『嶋村さんがいつも行ってるお店に連れてって下さい』って言ったから…ほんとにそれだけで…」






―――…何がそれだけだよ…。



そんだけ露骨にアピールされといて気付かないって…


やっぱり、天然…?



わたしの顔がむっとしたままだったので、荘司は焦ったようだ。



「えっと、ほんとにやましいことないからっ!!ただの部下だし!!それに、俺、ユキのことしか見えてないし…」



あまりに動揺しているのか、自分のことを『俺』と言ってるのにも気付いてないみたい。



荘司の素の部分を見た気がして、心の奥がほっこりとした。