わたしは、そっと嶋村さんの手に触れた。
「――…それじゃあもう、そんなに頑張らなくていいです」
「――――…えっ……」
嶋村さんが驚いて顔を上げる。
わたしは、安心させるようにニッコリと微笑んだ。
「これからは、いつでも会えるから」
わたしがそう言うと、触れていた手を引かれ、抱きしめられた。
お風呂上がりの石鹸の香りがして、スウェットの上からでもぽかぽかした体温が伝わってくる。
まだ少し湿った髪が頬に触れたかと思うと、耳元で囁かれた。
「――――…好きだ…」
背中がゾクゾクして、胸がいっぱいになる。