あー…なんでかイライラする…。


自然とコーヒーのセットもいつもより乱暴になってしまう。


「ユキちゃん、顔、鬼瓦みたいになってるよ？」


チアキちゃんが、ｶﾁｬｶﾁｬとさげてきた食器をお盆にのせてやってきた。


「…やっぱ、あの二人のせい…？」


そのまま横目で入口近くのテーブルを見遣る。


「…冗談じゃないわ…」


なんで、わたしが嶋村さんが女連れで来たからって不機嫌にならなきゃいけないのさっ!!!


…と思いつつも、食器を片す手つきは荒い。


「なんか、女の人が一緒だからかもしれないけど、今日の嶋村さん、雰囲気違って見えるね」


チアキちゃんの言うとおり、今日の嶋村さんはイベントバージョンのまま、きちっとした身なりをしていた。


「こうしてみると、嶋村さんイケメンに見えるかも」


チアキちゃんの頬がポーッと赤くなる。


じょ、冗談やめてよね…!!


「わたし、今日早上がりだから帰るね…っ!!」


バサリとエプロンをとる。


「…え？でも、嶋村さんに挨拶してかなくていいの？」


「…なんでわたしが…？」


わたしはそれだけ言うと、さっさとロッカーに向かった。