平日のランチタイム。


決まって１３時。


彼は入口近くのテーブル席でランチメニューをオーダー。


料理が運ばれてくるまで、忙しく給仕しているわたしをぼけーっと眺める。


目が合うと、頬を赤らめながら慌てて新聞を読むフリ。


もちろん、新聞は上下逆さま。


料理が運ばれてくると、ようやく餌を与えられたワンコのように尻尾をふりながら美味しそうに平らげる。


食後のコーヒーを運んでいくと、いつも動揺してこぼしそうになるので、最近は違う人に運んでもらったりする。


すると彼は目に見えてがっくりと肩を落とす。


やがて１３時半になると、急いでコーヒーを飲み干して会計を済ませ、最後にちらりとこちらに視線を向けてから慌てて外に飛び出す。


――…特に意識していなくても、それを毎日、三ヶ月も続けられたら、さすがのわたしも覚えるざるをえない…。