「もういいや。いまから名前呼ぶ奴、全員参加な」


「えっ?」


「仕方ねえだろ。自分から手上げる奴いねえんだから」


痺れをきらした加藤明はそう言うと、適当にゲームに参加する人間の名前を呼んだ。


基本的には男子の名前が多かった気がする。


でも誰が呼ばれたかなんて覚えてない。


自分が当たらなければ……


その思いしかなかった。


それは、この場にいるほとんどの人間が思っていることだろう。


でも加藤明に逆らえる人間はいなかった。


そして、最後のひとり……


「あと、そうだな……」


加藤は少し悩んだあと、思い出したようにある人物に目を向けた。


「大久保、お前が入れよ」


「はぁ⁉︎」


誰も予想していなかったが、最後のひとりに加奈子が選ばれた。