翌週の水曜日の朝だった。

「あの、明日、行ってみます。JJ、でしたっけ?」

よっしゃあ、思わず叫びそうになって、必死にこらえた。

「そうですか、気に入ってもらえるといいんだけど。」


夕方、内山くんに電話をすべきかどうか迷ったけど、結局やめた。

なんとなく「シナリオ」を見破られそうな気がしたのと、「JJ」の連中も驚かせたい気持ちがあったからだ。



吉村紀子は誰と行くんだろう?



木曜から日曜まで、ただひたすら時が過ぎるのを待った。


金曜日にひとりで「JJ」に行くことも考えたが、

仕事が風雲急を告げていたこともあり、我慢した。



この間も、チャボウズからは日々携帯の企画のことで文句を言われ、

仕方ないので時間稼ぎのために、きのうテレビで見た、宮崎の「真幸(まさき)駅」をヒントに適当な企画を出したら、珍しくチャボウズが乗ってきてしまった。





「真幸駅」は宮崎県の肥薩線にある駅だ。


「スイッチバック駅」という特殊な駅なので

鉄道ファンにもその名は知られているらしいが、

とにかくこの駅名の入場券は「真の幸せに入る」ということで人気になり、

普段は無人駅だが、特定の時間だけボランティアの方が入場券を販売している。


駅には「幸せの鐘」もあり、

ここに来ればいつか自分にも真の幸せが訪れる、

という気持ちにさせてくれる、

「幸せのコンタクトポイント」ということかも知れない。