カラフルなフルーツが印刷されている内山くんの名刺を2、3枚もらって、

この名刺の上にボールペンで、


「フルーツカクテル1杯サービス&松シェフの本日の1品付き」


と書いて内山くんに、


「誰かがこれ持って来たら、ちゃんとサービスしてよ。」と頼んだ。

「ガッテンです。ヤマジョーさんの紹介なら、当然女性ですよね?」

「それはわからないよ、この名刺、ネットオークションに掛かるかも知れないし。」

「まさかー、カラーコピーが出回ったり?ハハハ」



翌日会社でこの内山くんの名刺に「山木」のシャチハタを押し、

「JJ」の店のホームページをプリントアウトして、



「もしよければパーティの2次会にでも使ってみてください。

気さくな店です。キーマカレーもおいしいです。

JJ販促担当:ヤマジョー」


と手書きで書いて、

内山くんの名刺と一緒に会社の茶封筒に入れた。




翌週の月曜日の朝、

Sバックスではいつものように吉村紀子が笑顔で迎えてくれた。

ショートドリップを頼んで、小銭を出しながら、



「あの、これ、お店の紹介です。動員頼まれてて・・・

よかったら行ってみてください。」



とさりげなく茶封筒を押し付けた。



「えっ、あ、ありがとうございます。」



ひとつの「仕掛け」が終わった・・・






それからしばらくは、吉村紀子とはいつもの店員と客の会話だけが続いた。

それでも、きょうは寒いですね、とか、

クリスマスが近いから赤いTシャツですね、とか、

以前よりは格段に親密度は増してきた。




そろそろだろうか・・・