その後もすべてが恭子のシナリオ通り進行し、

オレたちは塾の先生と生徒から、

大学の先輩・後輩になり、

とうとう恋人同士になった。


たぶんこのまま結婚まで行くのだろう。

嬉しくもあり、悔しくもあった。





春になり、恭子は一流の商社に入社した。



姉の紀子は、第2子ができたため、Sバックスをやめた。



オレの方は、チャボウズが無事に定年退職し、新しい部長の下、本来のCM制作に戻った。



三浦は、「幸せのコンタクトポイント」企画のヒットのおかげで、あのイベントがシリーズ化され、相変わらず日本各地を飛び回っている。


神社のお守りがバカ売れしたり、周りの店がにぎわう副次的効果があるので、逆に向こうから売込みがあるらしい。



そう言えば、あの願叶神社の近くの和菓子茶屋は、テレビのグルメ番組などでも取り上げられ、地元の有名店になっている。


なんでも「日本茶インストラクター」という、お茶のソムリエみたいな人がいて、和菓子に合うお茶をブレンドしてくれるらしい。


ヒット商品は、いつどこで生まれるかわからない。


特別なシナリオがなくても流行はつくれるらしい。


釜井教授はなんとコメントするだろうか。