吉村紀子からメールが来たのは、その週の金曜日だった。


「山木様 あけましておめでとうございます。

以前お話していたお食事の件ですが、突然ですが来週12日の祝日はいかがでしょうか。

妹が、よろしければ自分の大学の近くのイタリアンレストランを予約すると言っています。

ご都合をお聞かせください。吉村紀子」


妹は大学生か。姉のために張り切っているのだろうか。

当初その日は、「オトナ初!幸せのコンタクトポイント」イベントの実施日だったので、

Y市まで見に来るよう三浦に誘われていた。

だがなぜか今回はチャボウズが、自分が行くと言い出したので、

オレは会社で仕事をすることにしていた。



「吉村紀子さま 謹賀新年。メールありがとうございました。

こちらがお誘いしたのに、いろいろとセッティングをしていただいてすみません。

妹さんによろしくお伝えください。

その日は会社に出ていますので、夕方からならどこへでも伺えます。

楽しみにしています。ヤマキ」




その後吉村紀子から送られてきたメールには、会う時間と、


驚いたことに、



見覚えのある地名が書かれていた。


そして指定されたレストランも、オレのよく知っている店だった。


妹はW大学なのか?


そのイタリアンレストランは、オレのゼミの釜井教授が好きで、毎週のように通っていた。

いまでも釜井先生は行っているのだろうか。



なんとなくこの偶然に、最初から抱いていた疑問がふと頭をよぎった。

ほんとうにこれはオレのシナリオだろうか?