『はい』



玄関のインターホンから、男の子の声が聞こえてきました。

クロエですがね。



「こんにちは、宮崎クロエって子に会いたいのですが」


『何方ですか』


「警察です」


『此処に犯罪者は居ません』


「別にボケてないから」



何ですかこのツッコミから被せられるツッコミ。クロエより経験積んでるとみました。

何の解説でしょうかコレ。



『少々、お待ちください』



がちゃん、と音がして、暫しの静寂。



「“少々”って言葉知ってるなんて、頭良いですね」


「あんた、なんで警察になれたのかねぇ」


「きっと、運が良かったんです」



多分、一生分の運を使ったんですよ。


ドアの向こうで足音がして、やがてドアが開きました。

ドアの隙間から、明るい茶髪の、少し外国人っぽい顔立ちの少年が顔をだしました。

クロエですがね。



「こんにちは、私<font size="5">は</font>ちゃんとした警察なんだけど、」


「ぼっ、ボクだってちゃんとした警察です!」



女性はスラリとジャケットの胸ポケから警察手帳を出してクロエに見せました。



「へぇ、そうなんですか」



クロエは少し警戒を解きました。


男性もスラリとジャケットの胸ポケから警察手帳を――――



「キャバクラの……名刺ですか」


「“ドリームピンクレーベル・ゆりあ”ぁぁ!?」



でかい声で名刺の内容を読みあげたのは、女性です。なんかブチキレてます。



「てめぇ、撃つぞ」


「ご、ごごごごごめ、ごめ、」


「シャッキリせぇ!」


「はい! 申し訳ありません!」




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