が、



「はなせ――――!!!」


「あわわ……」



すっかりメダパニにやられたのでしょうか、放せと言いながら富士原さんの両手を引っ張ってます。
えらいこっちゃ。



「大丈夫ですか」


「に゙ゃ―――!!」


「ほ、本当に大丈夫ですか!?」


「大丈夫!!」


「うそつけ!」


「にゃ――……」


「あらまあ」



猫みたいな声を出した北村さんは、ズルリとソファからずり落ちて目をクルクルとうずまきにしていました。



「大丈夫ですか?」


「だいじょぶー、クラクラするけどだいじょぶー」


「酸欠ですよそれ」



っていうかマジに目がうずまきだ、すげー。


頭を軽く振って正気を取り戻した北村さんは、涙目でした。

なんでかは自分でも解りません。

ただ、富士原さんの心のえぐられた痕に、何度も前髪をかきあげて土足で踏み入ってたかの様な、今までの彼に対する行動に、自分の無神経さに、ムカついてるのは確かでした。



「あんた」


「はい」


「自分だけが被害者なの? そうやって自分を可愛がって、愉しい? ―――自分が傷付けられた事は許さないのに、自分が傷付けたことは見て見ぬフリしてんなよ。そんなんで、本当に解ってもらえないよ」



なのに、口から出た言葉はとても酷い。




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