三日月を隠しては、すぐに離れていきます。




ムムはキラキラ光る銀色のローブを被り、親方である老女を見つめました。



「今日みたいな風の優しい夜は夢(ほし)を飛ばしやすい。お前は、運が良いね」


そうポツリ呟くと、彼女は籠に入ったあの石を見つめました。 



薄紫に輝く石はグラグラと揺れ、ふわっと宙を浮きました。

そして、彼女のしわくちゃの手の中に到着しました。

「ここからが重要だよ」

そうニヤリと笑って石を持っていない手で地面をかざしました。


彼女が地面に手をかざして、すぐに小さな台風ができました。



そこに先ほどの石を落とします。   


薄紫に輝く石は風の力で、フワッと宙に浮きました。

そして、風と一緒にクルクル舞い始めました。


――パチンッッ


老女が指を鳴らすと、薄紫に輝く石はいつのまにか二人の身長を追い越すくらいの高さにまで浮き上がりました。