「マサムネって言うんですよ。可愛くないですか？」

「…そうだね」

いけ好かない男はさわやかっぽく笑った。
ナオが飼っていなきゃそんなこと言わないに違いない。

「マサムネ、この人はね、ナ…あっ、私の上司の沢木さんだよ」

ナオがぼくに沢木という男を紹介してきた。
会社の上司？

「…会社じゃないんだからその呼び方じゃなくても、いいんじゃないかな」

「え？」

「…ナオちゃん」

その呼び方、なんだか気になるな。

「あっ…ハイ…すみません…。こ、紅茶、入れますね」

「敬語も、いい加減止めてくれて構わないのに」

「どうも慣れなくて…あ、ソファー…使ってください」

「ホラ、また…」

「あ…」

まだ、付き合いたて…なのかな。
そりゃナオに今まで男の影がなかったのは不思議なぐらいだったけど…
なんか、さみしいな…