ぼくが知る限りの沢木はどこかいつも余裕があるけど、
必死になっている。

「別れたら死ぬなんて、言われたら…」

「私と付き合ってる間の同時進行だったんだ。
 今のも楽しそうだった顔も無理矢理だったの?」

沢木は少し顔をピクッと動かした。

「ま、待って…その。きちんと話し合うから…あの子とは」

ぼくはさっきの電話の会話を聞いたけど、ナオは聞いてないのに。

「うん…」

ナオはそう言って、頷いた後、沢木の方を向いた。