「あっ、ゴメンね、携帯鳴っちゃってるから、出るね」

携帯のバイブレーションが鳴って、ぼくに断って、出た。

「もしもし…、どうしたんですか?こんな時間に」

ナオの顔が、少し変わった。
いつも見てる、ナオの顔よりも…
なんだろう。柔らかい、っていうのかな。

「今から、ですか…?えっと」

ぼくを見たナオは、少し困った表情だ。
どうかしたのかな。

「わかりました。1時間ぐらい、後ですね…
 ふふ、美味しい紅茶用意して待ってますから」

電話を切って、洗面所に走って行って、眼鏡からコンタクトにして、戻ってきた。
鏡を立てて、お化粧までし始めた。
そのままでも十分ナオはキレイな顔をしてるのに。
ぼくはナオにかまってほしくて、膝の上にじゃれた。