プッと吹き出して、
「ないわ、んなもん。あるわけないやろ。」


コツン、と軽く頭をぶつけてくる。


「……奥さんも?」


ため息混じりに、
「あっちにおる頃からもう長いことヤってへんわ。何言い出すねん、おまえは」


目が合う。
呆れた、という顔。



その時床に置いていた左手の指先に、何かが触れた。ソファーの下に、薄い紙の様な物が挟まっている。

彼に気づかれないように少しだけ引っ張り出し、顔だけを指先に向けて見た。



それは写真入りのハガキだった。