あたしにとって良くない今の状況で、授業中は唯一安心出来る時間だった。

ただ体育だけはそうはいかなかった。



「蒼ーっ」

「はいはーい」


ポーン


ボールはあたしの腕から跳ねて、奈緒美の腕目掛けて跳んでいく。

体育は選択でバレー。

運動好きのあたしには一番楽しい授業だ。


だから油断してた……。


バシンッ


「あだっ」


強烈な球があたしの後頭部にクリーンヒット!

ナイスボール!

……じゃないし!!


いやいや、ボールが当たるなんてあるあるネタじゃないか……

うん。落ち着くんだ、あたし


なんやかんや、自分の輪のボールに再び視線を戻す。

しかし、こっちのボールより先にまたしても強烈な球が後ろから。


「ひっ!」


今度は顔の横を


シュンッ


と通り過ぎた。


…………ん?

いやいやいや、連続して強烈な球が跳んでくるなんてあるあるネタ!

こっちのボールに集中、集中!


「蒼ちゃん大丈夫!?」

「あはは〜。ダイジョブダイジョブ〜」


同じ輪のなっちゃんが心配してくれた。
なっちゃんはあのメールの事も便乗しないで心配してくれる泣けるくらいイイ子。

気を持ち直して構えるあたしに、間髪入れず腰に強烈なアタックが入った。


「った!」

「蒼ちゃん!」

「蒼!ちょっと誰!?」