東雲葵穂。(シノノメ サキホ)


「な、何て読むの…?」



「えと…ひがしくも?」



「あおいほ…?」



「何て読むのコレ…?」







「うがー!!!!!!」



新学期の放課後の教室。



1人の女子の奇声が聞こえた。



「ちょ、葵穂落ち着いて」




私の肩に手を置きなだめようとする、親友の未恵(ミエ)。




「落ち着いてられない! だから新学期は嫌いだ!」



みんなが名前を聞いて来る。


あおいほ、なんて名前があるわけないじゃない!



「しょうがないじゃん名前は変えれないよ?」



「分かってるよっ!!」



「あ、またイラついてる」


教室の扉が開いて1人の男子が顔を覗かせる。