「これケーキ。皆さんで召し上がって」


差し出された箱を受け取った。


「ありがとう」


先にリビングへ行っててくれるように言って、ケーキをキッチンに運んだ。



麦茶のグラスをトレーに乗せてリビングに入ると、陶子さんが声を掛けてきた。


「母から、家政婦さんを頼んでるはずだって聞いてたんだけど、今日はお休み?」


「今日は夕飯だけ作りに来る日だから、5時頃来ると思う」


ぎこちないしぐさで麦茶を勧め、向かいあってソファに座った。