俺はペットボトルから直接ミネラルウォーターを飲みながらリビングに戻り、受話器を持ち上げた。


「もしもし」

「あ、よかった。
もしもし、陶子です」

「涼介です」

「涼くん?しばらくぶり。
私のこと覚えてる?」

「もちろん」

「よかった。
そうそう、瑞江さんのこと、本当に残念だったわ。
あなたたちも大変でしょうね、急にお母さんを亡くして。

知らせを聞いてすぐに帰国したかったんだけど、どうしても仕事を抜けることができなくて。

随分遅くなっちゃったけど、お線香をあげさせてもらいたいの。
今日の午後、伺ってもいいかしら」