「俺は政治家になる気なんてこれっぽっちもないよ。
政治になんてちっとも興味ないし」


反抗的につぶやくと、陶子さんはちらっと俺の顔を見た。


「まあ、将来あなたが何になるかは、あなたが決めることであって他人がとやかく言うことではないけれど、政治には興味を持って欲しいな」


俺は陶子さんの顔を見た。


「それは、陶子さんが外交官だから?」


陶子さんは大学卒業後、外務省に入り、今はニューヨークに外交官として赴任している。


国の外交を担う省にいるわけだから、当然政治にも関心が強いだろう。


陶子さんは顔から笑みを消した。