食事が済み、レジで会計をしていた陶子さんが、横に置いてあったチラシを手に取った。


「あら、ルネ・マグリットが来てるのね」


レジの黒服の男性が顔を上げて微笑んだ。


「ええ、たいそうな人気で美術館は連日行列のようですよ。
もう何日かたつので、そろそろすいてきた頃かもしれませんね」


陶子さんは振り返って僕の顔を見ると、にこっと微笑んだ。


「明日、これに一緒に行かない?」


俺はチラシを受け取って読んだ。


「ルネ・マグリット展?シュルレアリスム?」