しばらく黙っていた陶子さんは、やがて、気持ちを切り替えるように顔を上げた。


「夏休み、暇だって言ってたよね?」


陶子さんに聞かれ、その通りなので頷いた。


「私、早めの夏休みを10日間もらってきたの。
今日から1週間、私に付き合ってくれない?」


今日から1週間。


ちょうど彼女も合宿でいない。


「別にいいけど……」


「きまり!
じゃあ、さっそく今からドライブに行こう。
まずはお墓参りから。
瑞江さんの車、借りていいかしら?」


陶子さんはリビングの窓から見えるガレージを指差した。