「私ね、就職してからも、瑞江さんには電話や手紙でたくさん後押しをしてもらっていたのよ。

よき姉であり、よき親友であり、瑞江さんは私にとってかけがえのない人だった。

いろんなことを教えてもらったし、一緒にいろんなところにも行った。

瑞江さんはいつも前向きで明るくて、私の目標だったわ。

私ね、本当に瑞江さんが大好きだったのよ。

彼女がもういないなんてね……」


陶子さんは視線を落とした。


さっき仏間で見てしまった陶子さんの涙を思い出した。


もうその目から涙は流れなかったが、陶子さんの心はまだ泣いているのがわかった。


その美しい憂い顔から、俺は目が離せなかった。