「ここからニューヨークまで、どれだけかかるんだよ。
新幹線で東京に行って、そこからまた電車で成田まで行って、さらに飛行機で何時間もかかるんだろ?
気持ちを切り替えるのなんて、新幹線に乗ってからでもいいじゃないか。
駅までくらい送らせてよ」


俺がそうまくしたてると陶子は苦笑いした。


「しかたないわね…」


「で?何時に家出るの?」


「12時」


「飛行機の時間は?」


「夜7時」


「え?ここから成田空港までってそんなにかかるっけ?」


俺はいぶかしく思い、聞き返した。