帰り道、いつ知り合いに会うかわからない地元ではさすがに腕を組むのはためらわれ、微妙な距離を保って並んで歩きながら、俺は陶子に問い掛けた。


「明日、発つの?」


「ええ」


「何時?」


俺がそう聞くと、陶子はしばらく黙ったあと呟いた。


「……見送りには来ないで」


「どうして?」


「家を出た時から気持ちを切り替えたいの」


俺はむっとして言った。