「自分で言っといてなんだけど、母さんは十分おばさんだったよ。
でも、陶子はきっとおばさんにはならない」


俺が断言すると、陶子は笑顔を大きくした。


「そう?」


くすくすと笑う陶子を見て、俺も笑顔になった。


「陶子はいくつになっても前を向いて、今の美しさを保ったまま生き生きと自分の道を歩いていそうだよ。
そういう人をおばさん、なんて言わないだろ」


俺はそう言って、愛しい人を見つめた。


陶子も優しく見つめ返してくれた。


「じゃあ、せいぜい若くいられるように努力するわ。
いつあなたが会いに来ても大丈夫なように。
だから、あなたも頑張っていい大人の男になって」


そう言って陶子は小指を差し出してきた。


俺は自分の小指をそれにからめた。