陶子は寂しげに微笑んで続けた。


「私も愛してるわ。
でも、私は日本に残れないし、あなたを連れて行くわけにもいかない」


俺は唇を噛んだ。


「俺より、自分の選んだ道の方が大事だってことか」


俺がそう言うと、ふいに陶子はくすくすと笑った。


「『私より仕事の方が大事なの?』ってだだをこねる女の子みたいよ、涼介」


「…どうせ俺は子どもだよ」


俺はふくれた。