「失礼しちゃう。若作りって何よ」


俺は陶子さんが手を離してくれたことにほっとして、ニヤリと笑って言った。


「そのヒラヒラのスカートは20代前半のOL向きじゃない?」


「ふん、どうせ私は20代後半よ」


陶子さんはもたれていた体を起こし、カクテルを一気に飲み干した。


俺はほっとしながらも、ちょっと残念なような気もしている自分の気持ちにフタをした。


陶子さんは空になったグラスをテーブルに置き、手をあげてウエイターを呼んだ。


ウエイターは陶子さんの横に膝まづいて注文を聞いている。


まるで召使だな。


そんなことを思いながら、俺はウーロン茶でカラカラに渇いた喉を潤した。