7月22日。


第90回


全国高校野球選手権大会 県大会


抜けるような青空と、超満員の県立球場。


55校が参加して開会式を行い、熱戦の幕を開けた。


各校ナインは一子乱れぬ歩調を合わせ、はつらつとした表情で入場行進をした。


砂ぼこりが舞い上がる、グラウンド。


場内に響き渡る入場行進曲と、アナウンスの声。


「前年度、優勝校。私立、桜花大学附属高等学校」


縦縞のユニフォームを着た桜花の主将が、優勝旗を返還し、


「選手宣誓」


県立東山高等学校、野球部主将が、爽やかに宣誓を宣言した。


「各校の選手は、駆け足で素早く退場して下さい」


開会式を終え、球場の外に出て、おれと健吾は僅かな時間を利用して、桜花の修司と落ち合った。


「響也、健吾」


自動販売機の前で修司が大きく手を振ってきた。


おれと健吾は駆け足で、修司の元へ走った。


「いよいよだな」


おれたちは無駄な話を一切せず、手を握り合った。


「今度こそ、絶対、準決勝で会おうぜ」


それだけ言って、修司は相変わらず爽やかに立ち去った。


春の選抜県大会と全く同じ状況になってしまった。


おれたちは県立球場Bブロック、修司率いる桜花は県立球場Aブロック。


順調に勝ち進んで行くと、おれたちは準決勝でぶつかる組み合わせになっている。


修司の背中を見送っていると、勇気がおれたちを迎えに来た。


「夏井先輩、岩渕先輩、何やってんすか! バス、出ますよ」


「ああ、悪い。行こう」