唇が離れて瞼を開けると、にんまりと頬を緩めた彰がいる。
思わず顔がカッと熱くなる。

「彰、にやけすぎ」

「エミもにやけてるよ」

気づいたら、わたしもにやけてた。
冷え切った掌は彰の温かい手に包まれていた。
彰もコートは着ておらず、二人揃って身を縮めて家路を辿る。

「ああ、エミに貰ったの食ったよ」

「・・・板チョコを溶かして固めただけ。感想は聞きたくない」

こういう結果になると、あんな物をあげなきゃよかったと思う。
顔を背けたわたしを彰はクスッと笑う。

「美味かったよ。それに、エミを傷つけた罰ってことで」

「来年は頑張ってつくることにする」

「楽しみにしてる」