わたしが黙っていると、彰が口を開いた。

「エミがいやなことはしたくなかったのに、ごめんな」

「彰も同じだったの・・・?」

目の前の彰が歪む。
息が苦しくなってきて、喉に想いがつかえる。

「もう一度、俺の本当の彼女になってくれる?」

ここはわたしが素敵な台詞を言って、抱き付く位のシチュエーションなのだが、あいにく声が出なかった。
必死に何度も頷くことしか出来なかった。
すると、彰のあの大きくて温かくて骨っぽい手が、わたしの肩を引き寄せた。
わたしは瞼をソッと閉じて、彰のやわらかい唇がわたしの唇に触れた。

わたし達のファーストキス。