撮影準備がまだ整っていないため私は、トイレに行った。


気持ちを切り替えるためにも。


「未來。」


トイレに入る直前に呼び止められた。


「晴也。」


私は、ちょっと困った顔をした。


「未來、なんでいるんだ?」


「晴也こそ。」


お互い不思議だった。


まさか再会するなんて思っていなかった。


「俺は、大学でこっちでてきたら、スカウトされてさ。未來は?」


晴也は、地元でもちょっと有名だった。


田舎だけでなくこっちでもなんてすごいな。


「おじいちゃんとおばあちゃんが亡くなってね。それからいろいろあって....」


私は、説明を省略した。


だって、晴也に言ったって仕方ないから。


「未來....」


晴也は、詳しく知りたいみたいだけどちょっとした葛藤があるみたい。


「晴也。これから他人のフリしようね。私は、セイヤさんって呼ぶから。晴也も未來って呼び捨てにしないでね。」


私は、晴也の事なんて知らない。


私は、自分が大事だから。





.