なおとの部屋は十二条間だった。よく、はるおちゃんや、じゅんちゃんや、かっちゃんが、遊びに来た。学校の帰りによるのだ。旅館をやってるせいか、食べ物はよかった。
出前でカツ丼食べた後、毛蟹やあわびやうに、などがでてきた。それも、ほとんど毎日。
くい盛りな高校生にとっては、嬉しかった。かっちゃんは家が遠いので、ヤマハの四百のバイクでなおとのところまできていた。かっちゃんはときどき剣道部へ行った、けっこう強いらしい。

たかぎ先輩が。
「ちょっとつきあってくれないか」
と言ってきた。またきたか。なおとは敬遠した。たかぎ先輩は、少林寺拳法の先輩である、卓部の部室に連れ込まれた。なかには三人いた。
「俺が今度。番を張るはじめだ。副番はたかぎだ、で、どうだ裏番やらないか?」
「裏番って何です」
「ように、おもてにでない番挌だ」
「なんでおれを?」
「今の三年はろくなのがいないんでな」
「いい話だとおもうよ」たかぎが言った
「わかりました、ひきうけます」
そこで、解散となった。
噂はひろまった、みんな、なおとにたいして敬意をはじめた。なおとも、浮かれてた。

夏休みが始まってバイクの免許を取りに行く事になった。親も許してくれた。四百だ。なかなか取れないらしい。でも、簡単に取ってしまった。バイクは、ホンダの四百だった。かちゃんとツーリングにいくようになった。洗車をしたり、グリスを塗ったり、楽しかった。

ある日番長によばれた。
「今五所川原農業高校ともめててな、三対三で、タイマン張ることになったんだ。で、なおとも出てくれないか」
 喧嘩は自信あるので引き受けた。