私は、リビングへと向かった。台所には、お母さんがいて食器を洗ってた。
「お母さん、ただいま」
「お帰り、癒衣里」
「ねぇ、お母さんは寂しい?」
「へっ…?」
私…何聞いてるんだろう。今この家族を支えてるのはお母さんであって。そのお母さんにこんな質問するなんて…。
私は、瞬にして手を口に当てた。自分の口を黙らせるように。
「お母さんは…寂しくないわよ」
「……」
「だって、いつだってお父さんは傍にいるもの」
そう言って、優しい笑顔を向けて答えたお母さん。私には、言葉通り隣にお父さんがいるように見えた。お父さんも優しい笑顔で…。
「癒衣里は寂しいの?」
「ゴメンお母さん…」
「…寂しいの?」
私は、その質問に答える事が出来なかった。私…わかんない。でも、戻れるなら、戻りたい。
「癒衣里、今日の晩御飯どうしよっか」
お母さんは、また優しい笑顔で問い掛けた。
「私の好きなものっ!」
お母さん、今あなたは辛いですか?
その笑顔は本物ですか?
お父さんをまだ好きですか?
――…。