その1人とは、見た目以上に無口な人で、どことなく美形だった。
「メアド教えてくださいよっ先輩」
由美子の笑顔の一撃でか、2年の先輩たちは、大人しくメアドを交換していた。
途中から敬語にするなんて、由美子も上手いなぁ。
「ほらっ!癒衣里も」
私は、ポケットにしまっていた携帯を由美子に奪われ、そこにいた先輩達とメアドを交換された。
「ちょっと…由美子…」
「いいのっいいの」
いつもそうだった。
全然知らない人でも、思ったことは全部言っちゃうの。
でも、嫌われる事はなくて、その裏にある優しさでみんなと仲良くなっちゃうのが、由美子だった。
そんな由美子が憧れでもあった私。
今日だってそう。
由美子の気になる人と話しに来たんじゃなくて、私が恋をしてない事を気遣って、男の子と出会わせたんじゃ…
由美子は、がり勉の人苦手って言ってたし…