「最近なんだか、帰りが遅くない?」
「それは、私たちの為に遅くまで頑張って…」
「俺も最初はそう思ってた」
「…?」
[最初は?]空は、いつから疑ってたの?…お母さんは何も…。
「でも、最近電話で話してる相手って男なんだよ」
「っ!?」
「なんか、やたら笑ってるし」
何?…よく判んない。空…何が言いたいの?…。
「……」
「お母さんもしかしたら再こn―…」
「…やめてっ!!」
ヤダ…。聞きたくない。
その一心で私は大きい声と共に立ち上がった。私の行動に空は驚いていて、唖然としていた。
「っ…ゴメン」
「辛いのは判るけど、もしかしたら本当かもしれないじゃん」
「お母さんは、再婚なんてしないっ…」
空とは逆にあった壁に頭を押し付けた。
「お母さんは、お父さんだけが…」
脳裏に昔の記憶がよみがえった。お父さんの写真の顔が浮かんでる。その隣には、お母さん。お母さんの下には私。私の隣には、空。家族4人の写真が脳裏から離れない。
「お姉ちゃん……」
「ゴメン、空っ。弱いお姉ちゃんでゴメンね…」
必死にそう言った私。実際は、もう震えてて、涙が溢れていた。
私より、弟の空の方がよっぽど強い。なんで私すぐ泣くんだろう。
空の方がまだ小さかったから、記憶なんて私より薄いだろうし、なんせ年下。なのに、空は強いなぁ。