もしかして…この人が意紅琉先輩!?図書室で先輩達とメアドを交換した日、目は合わなかったけど、なんとなく私が見てた人。カッコイイけど、とてもがり勉とは思えない茶髪。私服もそれなりだった。ドクロのTシャツなんて着ちゃってるし…。
この人って、本当に意紅琉先輩ですか!?あの日図書室にいたがり勉の1人ですか?メールでは、すっごく優しい先輩ですか???
頭の中がパニックになっていて、私は力が抜けていた。信じられない。何もかも!全てが…。
「癒衣里さ、俺の顔と名前一致してなかっただろ?…」
初めて身近で…生で、ちゃんと聞いた声。記憶のモノより、電話の時より、断然カッコイイ声だった。知らない内に、私の胸は高鳴りだして、身動きもできなかった。
隣にいるのが信じられない程、これは夢じゃないかと思ったくらい。私は、緊張していた。どうしてかわからない。なんでなんだろう?
「ごめ、なさい…」
「何緊張してんの?」
「え、あ、あの…」
「フッ、俺の隣ってそんな緊張するんだ」
そう薄笑いをした意紅琉先輩、横からだったけど、笑った顔も初めてで、胸がうるさかった。
「ま、これからはリアルでも宜しく」
「はい。こちらこそ」
[リアルでも]って事は、先輩もメールだけだと思ってたんだ。今日は、先輩との初めてが多かった。カラオケの後は、ゲーセン行ったりファミレスにも行った。1日中先輩を意識しちゃって、おかしくなったりもした。でも、なんだか先輩の姿見てるだけで、気持ちが穏やかになっていって。こんなキモチ初めてだった。
「じゃ、もう遅いから解散なっ」
「先輩、今日はありがとうございましたぁ」
「また遊ぼうなぁ!」
「いつでも待ってまぁーすっ」
山岸先輩と由美子のやりとりが終わると、それぞれ帰っていった。先輩4人と、後輩私たち2人。