「山岸雄太って人きました?」
「山岸様ですと、2階の277号室にいらっしゃいます」
「ありがとうございますぅー」
山岸?…誰?…
私は、山岸なんて人知らなかった。最も、学年で知らない人も沢山いるんだけど;
「先ぱぁーいっ!」
「お、由美子じゃん。おせぇーぞぉ」
「ごめんなさぁいっ」
そう言って、金髪の男の子の隣に駆け込んだ由美子。
もしかして、前に言ってた“好きな人”って…この金髪の…―
「雄太先輩なんか歌ってぇー!」
「おうっ」
山岸雄太って人!?!?…由美子って不良系の人が好きカナって思ってたけど…。まさか、ここまでれっきとした不良が好みだったなんて…。
「ほら、癒衣里も意紅琉先輩の隣座りなさいよっ!」
「え…えぇ!?!?」
い、いい、、、意紅琉センパイ!?
顔見たことないから判んないよぉ…。
そんな事を思ってオドオドしながらも、由美子の指先を見ると、そこにはあの日一言も喋っていなかった、美形の男の子がいた。
「あ、こんにちは…」
「―…おう…」