「あ…。」


走って来た僕に気付いたキミは、小さく声を発すると急いで場所を空けてくれた。

長い真っ黒の髪の毛。
白いワンピース。

濡れてしまったために重たくなったスカートの裾を軽く絞って彼女は困ったように空を見上げる。

「…早く帰りたいのに…。」

小さな呟きに思わず僕がそっちを向くと、哀しそうな横顔。

僕にはどうしようも出来なくて。


ただ同じように空を見上げる。