「舐めやがって!」


 怒りに任せて、突進するギル君。


 その剣は・・・突きの構え。


 少しでも避ければ、横ががら空きになる、頭のいい戦法とはいえない。


「あちゃ~ギルのヤツ、あんなスキだらけの構えをしおって・・・・・」


 それを見て、頭を抑える、ギル君の親。


 だから、お前は本当にギルの親か?


「フンっ!」


 しかし、次の瞬間、その光景を見たものは全員度肝を抜かされた。


 リンのやつは、真正面からその剣を片手で払いのけたのだ。


 バンッ!という大きな音と共に剣が真横になぎ払われる。


 バランスを崩すギル君。


 次の瞬間。


「ほい!」


 リンの張り手が、ギル君を襲った。


 真後ろに吹き飛ぶ、ギル君。


 その光景は見ているも全員を唖然とさせた。


 なにせ、少年とはいえ、剣を持っている相手に、リンは一歩も動かず勝利をしたのだ。


 環境の変化は人をどのようにも成長させる。


 ドワーフと一緒に暮らしていたリンは、おのずとその年齢にそぐわないほどの、怪力を持ち合わせていたのだ。


 おそらくは、ドワーフの使う道具が全般的に人間に比べて、重く出来ているからだろう。


 ドワーフにしては非力。


 だが、人間にしては怪力。


 それが、リンの環境がもたらした結果である。