「こら!街中で剣を抜くな!危ないだろ!」


 さすがに、怒った。


 貴族とはいえ、いけないことをした子供に怒るのは、大人の義務だ。


「黙れ!庶民!お前からこの剣のさびにするぞ!」


 ・・・いや、いくら俺がアイスラの民とはいえ、子供相手には勝てるぞ。


 その剣の分を差し引いても。


「大丈夫だグスト。こいつ程度に負けない。」


「勝つ負けるの問題じゃない。街中でケンカするな!」


 お前のその自身に満ちた表情はどこから来るんだよ、本当に。


 知らないぞ・・・。


「まぁまぁ、子供けんかですし、大人が口を挟みなさんな。」


 ギャラリーと化していた、街中の人に言われた。


「しかし、あいつは剣を持っています。」


 一応、老人に言ってみるが。


「あんな子供にまともに剣が使えるわけないだろう?」


 別の町人に言われた。


「だったら、あの男の子が怪我をします。」


「ファイアルの民はそうやって、剣を学ぶんだ。あんた、アイスラの人間だろう?少し見ておきなさい。刀傷一つ持たない剣士なんて、カッコが付かない。いい勉強だよ。」


 今度は、身なりの整った、恰幅のいい髭面の中年男性に言われた。


 はぁ、そうですか・・・って、あんた、あのギルって子の親か!


 口調から察した。