「お前は、どこの民族なのだろうな?」
彼女の髪の毛を切り、服を着せて、グストは頭を捻らせた。
黄色人種、髪の毛も黒い。
一見するとファイアルの民にも見えるが、確証はなかった。
むろん、高い金を払い『降魔』と呼ばれる、魔法に目覚める技術を与えれば、一発なのだろうが、そんな金、一介の旅人のグストが持っているはずがない。
「民族?私は人間だぞ。」
そうだな。
ドワーフに囲まれていたら、分からないこともあるよな。
「人間・・・そんな言葉だけで、まとめられるほど、俺たちも単純だったら、よかったのにな。」
我らの神こそが至高である。
そう主張し続け1000年間。
別れた国は元に戻らない。
火、水、風、土、光、闇。
全てがそろい、初めて成り立つものであるはずなのに、なぜそこに頂点を求めるのか?
考えても、庶民であるグストが分かるはずもない。