「・・・・・・そして、私は、また捨てられた。」
・・・・・・・・。
気がついていたのか。
実に頭の良い子だ。
「そうでもないさ。」
ドワーフの生活に人間が付いていけるはずがない。
人間の身体は、ドワーフの約二倍。
今のリンは、まだ幼いから良い。
だけど、これ以上年齢を重ねていくと、その身体は大きくなる。それは、ドワーフと供に生きていくことを困難にする。
まったく・・・。
ドーラの地、バカスのときと同じだ。
まるで、こうなる運命だったように、導かれる。
リンは、ドワーフの森を抜けられるための、監視につけられたわけではない。
これ以上、彼女を育てることは出来ない。
だから、この子を頼む。
ドワーフから、託されてしまったのだ。
「なんとかしてみるか・・・」
とはいえ、どうすれば良いのかグストにはすぐには思いつかなかった。
彼の旅は復讐の旅。
道連れは、邪魔者。
だからと言って、こんなに幼い子を捨てていくわけには行かない。
どこか、いいところはないものかと、考えながら、とりあえず、今日は眠ることにしようと、横になった。
空には月が浮かんでいて、彼らを煌々と照らしていた。