やがて、全員が自分のクラスを確認できたらしく、教室に行くように指示が出た。

「……姫璃、どうしたの?」
麻希が、2人で教室に向かっている途中、そう聞いてきた。
溜め息ばかりついていたからだろう。


「何が?」

「表情が暗いから。何かあった?」

ええ。そりゃもう。
あり得ないことが。
というより、最悪な事が。

見知らぬ男子にキスされましたよっ!


そう思ったけれど、言えるはずがない。

とりあえず、何でもないよ、と言って微笑んだ。


教室に入ると、それまで賑やかだったクラスが一瞬静まり返った。