さて、次は血圧測定だ。だが、血圧計がどこにあるのかわからない。そこでまたナースに聞く。

「あのう、血圧計はどこにありますか?」

今度はさっきより強い口調で、

「さっきオリエンテーション受けたでしょう?自分で探しなさい!」

と言われた。そりゃあ確かにオリエンテーションは受けたが、初めての実習だし、ナースステーションに入るのも初めてで、よくわからない機械ばっかりおいてあり、どこに血圧計がおいてあるかなんて、一度で覚えられない。血圧計の場所くらい教えてくれたっていいじゃないかと泣きそうになっていたら、二年生の先輩を見つけた。先輩も私に気づき、近寄ってきた。

「どうしたの?何か困ってるの?」

と優しく聞いてきた。寮内では怖い存在の先輩だが、今は違った。

「血圧計の場所がわからないんです。」

と半泣きの私。先輩は私を連れて、

「ここだよ、ステートはここ。」

と教えてくれた。実習先では先輩はなんて優しいんだろうと感謝して血圧計と聴診器を持って、患者さんのところへ向かった。