「1本貰うよ、悪いね」
その言葉の意味が理解出来ない俺を全く気にせず、鈴木は、当たり前のように煙草を吸った。
妙に手慣れていた。
「……楽しくなんかないよ」
鈴木は煙草の煙を吐き出しながら呟くように言った。
「は?」
俺は本当に何がなんだかわからなかった。
「さっき聞いたじゃん、あんた。正直いい子ばっかでツマンナイ」
「お前に!言われたくねぇよ」
なんなんだ本当に。きっと学校一真面目な奴に、そんなこと言われて。意味わかんねぇ。
「多分ね、7回」
「?」
「ちゅーがく、行ったの」
「おま、卒業」
「がっこーはさ、あたしみたいなのいらねぇんだよ?行っても帰れっていわれるし?ここはさ、定員きってるから、親が金払えば入れるし。……でも、早く辞めたい」
「辞められないけどね。てことで、この事はあたしとあんたの秘密。じゃーね」
そして鈴木は何事もなかったかのように屋上を去った。